12月だ。
いつものように昼休みに妻に電話をした。
日課である。
今日、妻は泣いていた、理由なく。
また危ないことが起こるかも、と一瞬嫌な予感が走った。
午後から、職場では、わざと大きな声を出しながら、仕事に集中している振りをした。
そうでもしないと、胸のざわめきが収まらない。
家では妻が泣いているのだ。
12月が始まり、寒い1日だった。
帰ってみると、妻は毛布に包まり寝ていた。
二人で風呂に入り、食事は僕が作り、たわいもない話をした。
一緒にDVDの映画を観た。
妻は終始、落ち着いていた。
そんな1日。
人事異動に伴って、今日から僕の隣にアルバイトが座ることになった。
62歳のおじさんだ。
みょうにふてぶてしいと思ったら、どうも会社のOBだそうで。
面倒臭い。
当面、この男と仕事をすることになる。
会社では一人でいたい。
孤立したい。
もう、無駄な争いをするのは懲り懲りだ。
妻は、今、横でタバコを吹かしている。
僕も一服して、寝ることにしよう。
12月、僕の生まれ月。
僕の季節が始まった、そんな気分。
1年が終わる。
何かが終わって行くのは、ロマンチックだと思う。
僕は、週末が好きであり、12月を愛している。
おやすみなさい。